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第一章 長き眠りの果てに

五章 魔晄の泉(2)

「エルヴィン!こっちだ!」
 低い音を立ててアイドリングしている3台のジープの横で、レニー・グラッペリが大声を出して手招きしていた。片手で大きな皮の鞄を抱えた小柄な青年が、もう片方の手を大きく振りながら慌てて走ってきた。
「遅くなってすみませーん!」
 息を切らして駆け寄ってきた青年は丸い眼鏡の奥の大きな瞳をパチクリと瞬いてヴィンセントを見ると、にっこりと笑って頭を下げた。
「ヴィンセントさん。エルヴィン・テイラーです。ご無沙汰しております」
「ちびっ子のエルヴィンか。大きくなったもんだな」
 懐かしそうに目を細めたヴィンセントに、エルヴィンはちょっと肩をすくめて「そうでしょう?」と照れ笑いを返した。

 エルヴィンはクラウドが引き取って一緒に暮らしていた3人の中でも一番年下で、おまけに体格に恵まれていた年上の二人とは反対に、小柄に生まれついていたようだ。すっかり成人した今も華奢な印象は変わらなかった。
「予定していたコスモからの定期便が欠航してしまったんです。なんでもロケットポートエリアに正体不明の飛行モンスターが大量発生したとかで。おかげで出発が一日延びてしまって……」
「ああ、ジュノンからウータイに向かっていた虎山会の飛空挺が一機巻き込まれて危うく墜落するところだったようだ。なんとか振り切って航行を続けたようだ」
「そうだったんですね」

「エル、仕事の方は大丈夫だったのか?」
 レニーがエルヴィンの頭にポンと手のひらを乗せながら聞いた。
「大丈夫も何も……!どうしても今すぐに来てくれって言うからには……、クラウドのことなんだろ? レニーが僕に無理をさせることって言ったらそれしか思いつかないよ?……ヴィンセントさん、どうなっているんですか?」
「エルヴィン。君たちがずっと彼を捜し続けてくれていたことはレニーから聞いている。いよいよ、クラウドを見つけられるかもしれないんだ。詳しい話は出発してから車の中でしよう。とにかく準備だ。君たち、何か武器は持っているか?」
 レニーはジャケットの前を開き、ホルスターに収まった拳銃を見せた。エルヴィンはビックリしたような目をして首を左右に振っていた。
「君も何か身を守るものを持った方が良いな。こっちに予備の武器がある」
「あ!僕はいらないです。銃、撃ったことないですし。持ってても、使い方がわからないです」
「エル。相変わらずだな」
「だって……」
「じゃあ、せめて防具だけでも。こっちに防弾ベストがあるから。それを着て、真ん中のジープに乗っていてくれ」
 レニーとエルヴィンは緊張した顔で頷いた。

 ヴィンセントたちの一行はロケット村を出発すると、ニブル山に向かう道を砂塵を巻き上げながら爆走した。3台のジープは半世紀ほど前に開発されたガソリンを燃料とするタイプだった。給油されたガソリンの精製度があまり良くないのか、黒っぽい煤まじりの排気を上げていた。
 激しく上下にバウンドする後部座席でレニーがエルヴィンに状況の説明を始めた。ヴィンセントは黙って後ろの会話に耳を傾けていた。

「シンラ軍がノースコレルに侵攻しただろう?たった一日だけの大激戦で、こっちは82名の死者と1,206名の負傷者を出した。それなのに、翌日にはパッタリと攻撃が止まり、その次の日にはいきなり撤退を開始した。」
「うん、そうだったね」
「シンラ軍が撤退を開始した翌日のことなんだ。ペギーから僕あてに、シンラ共和国軍の特殊部隊がニブルヘイムへ向かっているという連絡が入った」
「ペギーから?レニーに直接?」
「そうなんだ。もちろん、それがクラウドにかかわることだったからだよ」
 エルヴィンはごくりと生唾を呑み込んだ。
「シンラ軍のノースコレル侵攻が始まったとき、彼女の所属する小隊は休暇中で北コレルの基地に帰っていたらしいんだ。ペギーたちの小隊はレンジャーだろ? だから他の隊とは別のルート、つまり山脈の中を通ってシンラ軍の側面へ出ることになったそうなんだ。ある程度長期戦になることを予測してのことだったんだろうな…。だけど、彼女らは移動半ばでシンラ軍が撤退してしまったと聞かされた。そこで、前線の本隊に合流するためにルートを変更したところ、目の前を所属不明の武装集団が西へ急ぐのを見かけたそうだ……」
「それがシンラの特殊部隊だったのかい?」
「ああ。コスモ連合でよく使われている四輪バギーに偽装を施してを使っていたそうだ。ペギーの小隊じゃなかったら見破れなかったかもしれないな。彼らはすぐに任務を切り替え、その集団の追跡と確認に取りかかった」
「確認って、シンラ軍かどうかってこと? どうやって?」
「うん。最後尾の一人を捉えたんだ。武装集団は、メンバーのひとりがこっちの手に落ちたことに気づくと、こっちの兵士もろともその仲間をすぐさま撃ち抜いたんだ。仲間を見捨てて先を急いだらしい」
「ひどい……」
「そのとき死亡したシンラ兵の持ち物の中から、クラウドの名前の入った作戦指示書が出てきた」
「クラウドの名前? 作戦?」
「ああ。クラウドがニブル山の北斜面にある洞穴の中にいるらしいんだ」
「本当に!?」
「しかも、その特殊部隊はクラウドの命を奪うことを目的にしている」
「なんだって!?」

  一通りの説明が終わるのを待っていたヴィンセントが背後を振り返り補足した。
「北コレル方面隊からも応援の部隊がすでに出発している。ペギーたちの小隊はそのまま敵を追跡中だ。我々は反対側になるこちらからクラウドたちを探す。コスモの幕僚本部とも連絡を密にして事に当たるつもりだ」
「クラウド……。なんだってクラウドを殺そうなんて……。シンラ共和国は何を考えているんだ!」
 エルヴィンは動揺を抑えきれないのか、震える声を荒げた。
「エルヴィン、落ち着け。シンラの大統領の意志というわけでは無さそうだ。シンラ共和国の新しい大統領はまだ軍の古株たちを掌握できていないらしい。私がつかんでいる情報によると、陸軍大将のコールマンがクラウドに異様に執着しているらしい」
「執着?」
「クラウドを殺せば障壁が消える、というのがコールマンの持論だそうだ」
「もし本当に障壁が無くなれば、軍事力の差は歴然としています。コスモ連合はひとたまりもないでしょうね」
 レニーが沈痛な声で言うのにヴィンセントも大きく頷く。
「穿った見方をすれば……ノースコレルへの侵攻は陽動作戦だったのかもしれない」
「あ!どさくさにまぎれてその特殊部隊を内陸部に入れたっていうこと?」
「そういうことだ」

 エルヴィンはショックに唇を震わせ、レニーに肩を抱かれながらつぶやくように話し続けていた。
「ニブル山の洞穴とひとくちに言っても……すごく広いんだよ。ニブル山は地中にライフストリームの大きな流れが何本も集まっているんだ。長い年月をかけてニブル山の硬い岩盤を浸食してできた大小の洞窟が無数にあるんだよ……。いったい、どこをどうやって探せばいいんだよ……。それに……、クラウドは行方がわからなくなってからずっとそこにいたんだろうか? クラウドの体質、わかるだろう?レニー。あまりライフストリームには近づいてほしくなかったんだ」
「エル……」
「どうしても先にクラウドを見つけなきゃ………。レニー、クラウドの身にもしものことがあったらどうしよう」
「とにかく、シンラの兵士が持っていた情報に従って、少しでもクラウドに近づく。少なくともこっちの方が先にニブル山に到着するんだ。僕たちがしっかりしないでどうする?」
「うん」
「ペギーもこっちに向かってる」
「うん。そうだね」
 背後でかわされる会話を聞くとも無しに耳にして、ヴィンセントも不安をかき立てられる思いがした。膝の上に広げた地図に目を落とし、ジープで乗り入れられる地点をもう一度確認する。ニブル山の北側に入り込むには、途中でどうしても車を捨てる必要があった。
 自分たちに与えられた日数のアドバンテージはおよそ二日間だと考えていた。もちろん、もし敵がバギー以上の移動手段を得たとするとそれもなくなる。
 ヴィンセントは黒い翼を広げる自分の姿を思い出して身震いした。いざとなったら錆び付いてしまったかもしれない変身能力を掘り起こしてでも、自分ひとりで先行すべきかもしれない。自分の呪わしい特異な身体が役立つなら、この能力をこんなにも忌み嫌うのではなかったと後悔した。

 

◇◇◇

 

 セフィロスとナナキはニブル山脈の北麓に広がる暗い針葉樹に覆われた最初の尾根を越えた。眼下には深い渓谷が横たわり、その先の幾重にも重なる尾根の向こうに“死の山”ニブル山の奇怪な山頂が姿を現した。
 ふたりは渓流の側を歩き、浅瀬を探して対岸へ渡った。深い渓谷をひとつ挟んだそこには今まで歩いてきた針葉樹林とは別世界だった。死の山に連なるのが意外なほど明るい山の風景が広がっていた。木々は太陽の陽射しをきらきらと跳ね返しながら競って高く枝を伸ばし、小動物が餌を求めて動き回っている。命の気配に溢れた豊かな雑木の森は、キャンプやハイキングにこそふさわしいほどののどかさで彼らを迎えた。陽光の届く地表は、やわらかな下草におおわれて、自然と足の運びも軽くなった。

 ジュノンで別れたマルサリスが示したエリアは、ニブル山を中心にした半径500kmにも及ぶ広さだった。そのエリアの中にはもちろんニブルヘイムの街も含まれている。こんなにも広いエリアのいったい何処を探せばいいのか、探し出すのにいったいどのくらいの日数がかかるのか、と山のような不安を抱えてここまできた。
 しかし、尾根をひとつ越えるごとに、クラウドの呼び声はさらに強く、クリアにセフィロスの胸に届くようになった。物理的な遮蔽物や距離が関係しているのだろうか。あるいはクラウドの身に何か切迫した事態が起こっているのだろうか。
 いずれにせよ闇雲に探しまわる必要はなく、とにかくこの呼び声の強くなる方向へ急げばいいのだとわかってセフィロスは安堵した。

「セフィロス、このまま進むとすると……目標地点はニブル山のあたりになるよね?」
「ああ」
「マルサリスが示していたエリアはニブル山を中心にかなり広い範囲に渡っていたよね……」
「そうだな。あの地図を見せられた時にはどうしようかと思ったが、今となっては間違えようが無い。まさにあの山の方角だ」
「クラウドの気配?」
「……頭に直接響くように声が聞こえるんだ。間違いない」
 セフィロスはニブル山の山頂を睨むようにして言った。
「あの山には……魔晄炉跡があるよ。そして山の向こう側にはニブルヘイム、神羅屋敷も」
 困惑顔のナナキを振り返り、セフィロスは言った。
「ナナキは俺にあの場所には近づいてほしくないだろうな。……俺に、厄介な記憶が戻ってしまったらお前が困る」
 ナナキは鼻の上にしわを寄せて頷いた。
「何度も言うようだけど、オイラじゃ、セフィロスを止められないからね」
「そうなったら、俺も困る。昔あの場所で、自分がおかしくなった原因が思い出せていない。だから、俺も近づくのは怖い」
 自分で自分の不安を煽るような言葉を口に出しながらも、セフィロスは迷うことなく走り続けた。

 二つ目の尾根を超えた頃から、セフィロスは奇妙な既視感に襲われていた。不眠不休で森の中を急ぎ続けて三日目になる。
 唐突にセフィロスは立ち止まった。少し距離をとってセフィロスの後を追っていたナナキが、追いついて横に並んだ。
「どうしたの?」
 セフィロスは切り立った崖っぷちから下を見ていた。ドウドウと音を立てて岩肌に当たりしぶきを上げる谷川が見えている。ちょうど真下で水の流れはその方向を変え、そう遠くないところで広がる川幅に緩やかに吸い込まれていた。水面までは10メートルといったところだろうか。川の両側を挟む崖の中程から、白っぽい大きな岩が突き出していた。丸い皿を岩肌に突き刺したような特徴的な形をしている。
(この風景……。この森。この谷川。俺はここを知っている)
 森には似たような風景が繰り返し現れるものだ。だが、この場所が思い出した通りの場所だとすると、少し上流まで行けば二筋に並んで落ちる小さな滝があるはずだった。

「飛び降りる? もうちょっと下流まで行けば楽に渡れそうだけど」
 切り立った崖のせいで立ち止まったと勘違いしたナナキが尾を振ってセフィロスを見上げた。セフィロスはかぶりを振り、ナナキが示したのと反対の方向にゆっくり歩き出した。
「ここで……、このあたりで……、まだ幼かったクラウドと出会った……」
「え?」
「偶然だった。俺は偶然この場所に来たのだから……。そして、クラウドも……偶然この場所に……」

───茂みの中から、傷だらけで現れた子供。その見開かれた青い瞳に宿る強い光。

 セフィロスは懐かしさと喪失感で胸が押しつぶされるのではないかと思った。小さな手を強く握りしめた感触が、柔らかい金髪の一房にそっと触れたときの心地よさが手のひらによみがえる。
 この森に、何度足を運んだだろう。ここはセフィロスにとって忘れられない、いや忘れてはならない場所だった。人並みはずれて強靭な肉体と精神力を持ちながらも己の生き様に折り合いを付けることができず、バランスを失っていた年若い時代があった。誰にも見せることなく押し込めていたナイーブな心をあるがままに受け入れてくれる森だった。
 この森でクラウドという少年に出会ったことで、心の平衡を取り戻し、心身ともにひとつの壁を乗り越え、セフィロスが自分自身としてもう一度生まれ直した場所であった。

 二筋に別れてなだれ落ちる水は滝つぼの中でひとつになる。川の水を落とす棚の先に巨大な岩があり、その背後に堆積した土砂で流れが二つに分断されている。水のカーテンの後ろには、浅い洞窟のようなくぼみがあった。
 予想どおりの光景を目の前にし、セフィロスはここからそう遠くないところで自分を待っているクラウドを思って、さらに胸を熱くした。
(もうすぐだ。あとすこし、待ってくれ)
 
記憶との相違点がないか、丹念に観察するうちに、このあたりの地層は固い岩盤と柔らかい地層が複雑に入り組んでいるため、思わぬところに洞窟が仄暗い口を開いていることを思い出した。
「滝の棚の上はたいてい固い岩盤が広がっていて、水深が浅い。上から対岸へ渡ろう」
 ナナキを促して、滝のそばの急勾配をのぼり棚の上に出たセフィロスは、記憶にあった通りの巨石に目を細めた。滝までの距離がいくらか短いように思うのはおそらく100年の間に岩盤が浸食されて滝の位置が後退したのだろう。

 対岸へ渡ったセフィロスは、目を閉じてクラウドの気配に集中し、進行方向を確かめた。谷川のこちら側は、ニブル山の山肌によく見られるような灰色の岩が木々の間を切り裂くように、あちこち突き出している。よく晴れた明るい陽射しの中、木々に彩られているその岩は、あたりの風景にほどよく変化とリズムを付けており、いっそ美しいものだった。しかし、山全体がこの岩石におおわれたニブル山はすぐ目の前にその禍々しい姿を高く聳えさせている。
 ニブル山に近づくにつれて強くなるクラウドからの呼び声に、セフィロスの心はいっそう逸った。

 

 セフィロスが呼び声の源と目星をつけたのは、ニブル山北側の中腹あたりから連なる尾根を向こう側にまわり込んだあたりだった。その付近への最短と思われるルートを見つけ、稜線を目安に進み始めたとき、ふいにナナキが鋭い警告を発した。
「セフィロス。誰か人がいる……」
自分たちのいる場所よりも少し下の方を通っている細い山道を急ぎ足でやってくる一団があった。樹間に赤っぽい人影がチラチラと見え始めたとき、ナナキが緊張を解いた声で言った。
「あっ!あれ、ヴィンセントだよ」
「ヴィンセント?」
「うん。前にちょっと話たよね。ちょっと変わった能力を持っていて、あんまり歳をとらない……」
「ああ、お前やクラウドと一緒に旅をしたという?」
「うん。どうしたんだろう?こんなところで」
 ナナキは慎重に様子を見ていた。
「コスモの兵士と、あれは……、レニーとエルだ!」
「知り合いか?」
「クラウドの子供たちだよ。子供って、いや、本当の子供じゃないよ!……引き取って育てていた子供たちがいたんだ。その子が大きくなって、ほら。今じゃ、クラウドを追い越して大人になってる」
「……」

 セフィロスもじっと下を観察した。全く疲れたそぶりも見せず、人間離れした気配のする赤いマントの男がヴィンセント、迷彩柄のつなぎにサブマシンガンを装備した一団がコスモの兵士だろう。そして、どうみても民間人に見える二人がクラウドの子供たちというわけだ。
「オイラ、ちょっと下におりて話をしてくるよ。セフィロスはどうする? 先を急ぎたいだろ?」
「ああ、先に行く」
「あの辺りに間違いないんだよね?」
 ナナキの指す場所を見てセフィロスが頷いた。
「もし、洞窟の中に入るなら、目印付けといてよね」
 ナナキはそういうと、シッポの火をひときわ大きく燃やし、一目散に斜面を駆け下りていった。
 セフィロスは目星を付けていた地点までさらに急いだ。
 セフィロスを求めるクラウドの声は、すでに声と例えるよりも、引力とでもいえるほどの強い力でセフィロスを導いていた。

 

 その洞穴は大きく枝を広げたカエデの木に覆い隠されるようにして口を開けていた。ブナやミズナラが大半を占め、たくさんの洞窟を抱えるこの山で、ほかの木とは印象の異なるカエデはまるでセフィロスに気づいて欲しいと意図的にそこに植えられたかのようだった。入り口の横に積み石を置いてナナキへの目印を作ると、セフィロスはつもった枯れ葉を踏みしだいて、薄暗い空洞の中に踏み込んだ。

 洞窟の中は奥へと進むほどに広くなっていた。通路は何度か枝分かれしていたが、強い気配に引かれるように進むセフィロスが迷うことは無かった。
 ところどころにぽっかりと開いた縦穴から外の光が差し込み、新鮮な空気が流れ込んでいた。足元の岩盤は地下から滲み出した水でしっとりと濡れている。奥へと足を進めるにつれ、魔晄独特の臭気が強くなり、息苦しいような空気が漂ってきた。進むほどに周囲の岩盤が薄緑に発光して明るさを増した。足元を流れる地下水までも薄く輝いているのは、ライフストリームの湧出がすぐ近くで起こっていることを示していた。
 ひときわ大きくせり出した巨石を回り込むと、急に視界が開け、天井の高い広々とした空間に出た。

(これは、なんだ?)
 目の前に現れたあまりにも異様な光景に、セフィロスは言葉もなく棒を飲んだように立ち尽くすのだった。

 

 

『In A Silent Way』 第一部 五章 魔晄の泉(2) 2006.09.09 up

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